マターレクチャー各論① - Education

Madrid WUDCの振り返りの記事を沢山書くつもりが、1個で力が尽きてしまい、、、もう多分書かないです。すみません汗汗汗

心機一転、今回からは初心者向けの簡潔な分野別マターレクチャーを書いていきます。

細かい正確性は気にせずに、ディベートを始めたばかりの新入生や高校生でも理解できるような内容にします!

一部記載が不正確な箇所もあるかと思いますが、分かりやすさのために犠牲にしているので悪しからず。

 

テーマは以下8個!

Education, Politics, Media, Social Movements, International Relations, Criminal Justice, Economics, Choice

もし余力があればConflict, Religion, ArtやFinance, Philosophy, Sports などの分野も扱いたいと思ってます。

 

Educationは学年大会/高校生大会頻出です。知識が要らないし、初心者でも何を話せばいいか何となく分かるから、モーションとして出しやすいからでしょう。

Educationのモーションとして例を挙げておきます。

  • THW only allow university admission on the basis of standardized testing, as opposed to non-quantitative methods (e.g. essays, alumni interviews). (Tokyo IV 2023 R1)
  • THW significantly relax graduation requirements for schools in underprivileged areas (e.g. separate standardised testing, relaxed attendance requirements, flexible submission deadlines, reduced number of subjects, etc.) (ABP 2023 R1)
  • THBT parents from minority groups should actively teach children the reality of oppression and how to deal with it (Icho Cup 2023 R1)
  • THBT developing countries should drop local languages in favor of a world language* as the primary medium of instruction in schools. *A World Language is a major language that is geographically widespread and has many speakers (e.g. English, Arabic, French, etc.) (WSDC 2023 R8)
  • The Politeness Pill, when taken, temporarily permits only socially acceptable behavior, such as obedience, attendance at school, good manners, following the law, refraining from drugs and alcohol, etc. THW allow parents to give the Politeness Pill to their children under the age of 18, regardless of the children's consent (Oxford IV 2021 R2)

ぜひ上記に挙げたモーションを練習で使ってみてください!

 

Educationのディベートは大きく分けて以下の2種類あります。

教育機関が何をするべきかに関するディベート

・親が何をするべきかに関するディベート

 

子供は誰から教育を受けるのか?

親と学校ですよね。なので、当然上記の2種類のディベートがあります。

 

両者において、必ず考えなければいけないのは、子供の利益(interest)です。

子供は何を望んでいるか?子供にとって最善なことは何か?

 

多くの初心者が陥りがちなミスは、「良い大学に行って、良い仕事を得ること」が一番大事だと勝手にassumeしてしまうことです。

本当にそうなのでしょうか?

良い大学に行っても不幸せな人は沢山いるし、良い会社に入ったものの46時中働いて身体を壊して精神まで病んでしまう人もいます。

「良い大学に行って、良い仕事を得ること」が悪いと言っているのではなく、必ずそれが子供にとって一番大事なinterestであることを理由をつけて証明しましょう。

 

THW significantly relax graduation requirements for schools in underprivileged areas (e.g. separate standardised testing, relaxed attendance requirements, flexible submission deadlines, reduced number of subjects, etc.)

例えば、このモーションで、Govの言える話として、現状学校のカリキュラムについていけず中高を中退している多くの貧困層の家庭の子供が、学校に通って卒業しやすくなるというargumentがあります。

卒業できればどうなるのでしょうか。一流大学に行くことは難しいでしょう。一流企業に就職するのも非現実的です。でも、卒業した方がある程度マシな仕事には就けますよね。例えば、こんな風に説明すると分かりやすいんじゃないでしょうか。

40代になってもスーパーのレジ係をやったり、場合によってはお金に困り多額の借金を抱えるような生活を送るよりは、地元のセールス会社の管理職になってそこそこの給料を稼いで家族と幸せに過ごす方が百倍良い生活でしょう。だから、ちゃんと卒業することが大事!

このように、現実的に考えて、子供にとって何が最善なのかを考え、きっちり説明することが大事です。

 

あと一点注意ですが、スピーチで教育の目的について語るのは基本時間の無駄だと思った方がいいです。

The purpose of education is to 〜 的な話をする人がいるのですが、〜が教育の目的であるってのは「それってあなたの感想ですよね?」としかならないので、もっと現実的なimpactに集中しましょう。

 

それでは、まず1種類目、教育機関に関するディベートについて見ていきましょう。

まず、日本ではあまり意識しないですが、学校は基本お金がないものです。金持ち私立は別かもしれませんが、とりわけ途上国では、公立学校はresourceが足りていません。このrecourceというのは教師や施設だけでなく教科書なども含みます。多くの途上国では、教科書の言語と先生の話す言語が異なります。例えば、ネパールだと、ネパール語の教科書が存在しないため、授業では英語のテキストを使いつつ先生はネパール語を話しています。

次に、resourceがあったとして何を教えるかも大事です。

1つ目の視点として、教えていることが将来有用なことか否か。日本の中高では受験を意識して暗記に重点が置かれていますが、あれって将来役に立つんでしょうか?大学に行かない人の場合、職業訓練/専門学校(vocational school)に行った方が手っ取り早く必要なスキルを得られるので、普通の学校に行く意味はあまりなさそうですよね。

2つ目の視点として、教えることが教育機関が教えるべきかどうか。例えば、過去の虐殺などの深刻な歴史問題に関するカリキュラム、途上国においては人種/宗教問題について何を教えるべきか、性教育のあり方、などが良くあるディベートのテーマです。これらのモーションを見たら、教育機関以外の場所で子供たちはどのような情報を入手するのか?と考えましょう。歴史問題について学校が扱わなければ、SNSで過激右翼集団のイデオロギーに触れたり、親戚の老人から一方的な歴史認識を教わったり、より過激な思想に染まる可能性が高いですよね。だからこそ、学校のカリキュラムに多少問題があったとしても、その他のより悪い情報に触れるよりはマシだ!というのはよく使われる論理です。一応なぜ学校の方が中立的で適切な内容の指導をするかの理由は、カリキュラム作成には大学の教授や専門家が多く関わっており中立性・正確性に重点が置かれていること、政府のカリキュラム作成にあたり民衆からのaccountabilityがある程度存在すること、さらに、多様な生徒のいるクラスにて教師は全員にできるだけ配慮した指導をすること、などが挙げられます。ここら辺はまとめて覚えておくといいでしょう。

 

では、2種類目、親に関するディベートを見ていきます。

まず、Principleっぽい話から始めていきます。

子供は原則、自由が大幅に制約されています。投票はできない。お酒は飲めない。タバコは吸えない。学校は選べない。親の支配の下生活するしかない。

一方で、親の自由も制約されています。親は子供を虐待することを禁止されています。親は必ず衣食住を子供に提供する必要があります。親は子供に教育を施さなければいけません。

ここで出てくる話は2つあります。

・親はどこまで子供を支配する権利を有するか(Parental right)

・親は子供に対してどのような義務を負うか(Obligation to children)

 

まずは、Parental rightから検討します。

よく出てくる例が、エホバの証人輸血拒否事件です。エホバの証人という宗教は教義上輸血を禁止しています。この事件の当事者である親は、自身の子供が輸血を伴う手術をしなければ死んでしまうという状況の中で、教義を優先し輸血を拒否しました。しかし、医師はその親に無断で輸血を行い手術をしたため、訴訟事件になった、という話です。

子供が何らかの手術などの医療手続を経る場合、必ず子供ではなく、親の承諾を必要とします。これは、子供は心身共に未発達であるから自己決定ができず、親が代理人(proxy)となって子供の決定をするべきだという考えに基づいています。ただ、だからといって親が何でもできる訳ではありませんよね。では、親の権利の範囲内か否かはどう判別するのでしょう?

色々言えるとは思いますが、子供がもし自己決定能力があった場合の意思と合致するかどうか、は重要だと思います。

Parents can claim rights over their child only because a child cannot make decisions alone and parents are the most proximate proxy who can act on behalf of their child. That's why we don't allow parents to be abusive and mandate them to provide food, shelter, and education for their child. Therefore, parental rights do not exist where the interests of parents clearly don't align with those of the child.

こんな感じかな!

では、上記事例では親の権利が認められるでしょうか?認められる側、認められない側、両方考えてみてね!

あとは、宗教的洗脳(religious indoctrination)が親の権利の範囲内かのディベートもありました。

 

次に、親の義務です。

前述の通り、親は必ず衣食住と教育を子供に提供する義務があります。なぜでしょうか?よく使われる理由は、子供は生まれることに同意(consent)していないからです。こっちは同意してないのに勝手に産んで、それでやっぱ子育て面倒だからポイッみたいなことをされたら無責任極まりないですよね。

逆に子供は親に義務を負うのか、というディベートもあります。

親は子育てに大量の時間とお金を費やしたんだから、親が老後に介護が必要になったら子供は介護に駆けつけなさい!っていうイメージですね。

義務を負うと主張するなら、子供は親にreciprocal obligation(相互的義務)を負うと説明します。要は親が子供のために色々尽くしてくれたんだから恩返ししろ!ってことです。

逆に義務がないと主張するなら、親が色々尽くしたとしても、そもそも子供は同意(consent)してないから義務は発生しないと説明します。例えば物の売買で契約責任が発生するのは双方が契約に同意したからですよね。consent無しに勝手に負担を押し付けるな!ってことです。

 

最後に親による教育の現実的な側面について軽く触れます。

学校同様、親の教育にかけられるresourceは限られています。共働き家庭なら子供と過ごす時間が足りない!という時間の限界。また、親は教育の専門家ではありません。一般人です。そのため、子供のことを思っていても、その思いが必ずしも最善の教育につながるとは限りません。教育ママやTigar parentsと呼ばれる人たちが良い例ですね。あるいは、歴史問題・性教育などのセンシティブなトピックに関して親が教育しない、だから学校が頑張らないといけない、という話もあります。

なので、parentsが何かするというモーションが出たら、まず、Do parents have the capacity to teach it well?と考えるのは重要です。

 

ということで、概論はここまで!

ここまで読んでくれた方はありがとうございました。

あとは実践あるのみ。

いくつか復習用の音源を貼っておくので、活用してくださいね!

 

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