音源紹介⑧ 〜大枠のframingで勝負〜

今回はあんまり存在感のない2019年のワールズの音源を見ていきます。

このQFのOpening 2チームはめっちゃ上手い。

 

www.youtube.com

 

Motion: This House supports a norm of embracing anger in public discourse rather than one of aspiring to dispassionate objectivity.

 

これのPMを見ていきましょう。

 

1. Embracing anger is necessary to allow the oppressed to have their say

Premise: there are many good reasons for why people get angry

 

この最初のframing、いいですね。

政治とか社会に対するangerという感情はGovでもOppでもあるんだけど、Govの世界ではそれをvoice outできて、Oppの世界では無理矢理我慢させられるっていう比較に持ち込んでいます。

これだけでもだいぶGovの世界の方がよくね?と思えますよね。このframingは、1つ目のargumentだけではなく、2つ目のextremismのargumentの前提にもなっています。

 

そして、Minorityはangerでしかvoice outできないという話をしています。

一個一個のメカニズムの説明が必要最小限に抑えられててコスパがすごい。EPL感。

 

次に出てくるframingがOOとの関係で大事になります。3:16 あたりのところ。

selective application of tha narrative という話をしています。

Oppの世界では

When minority raise their concern, they are seen as violent and pushed aside.

By contrast, when the majority gets angry, their anger gets accepted (e.g. Trump).

このframingによって、

Oppではmajorityはangerを表現できるけどminorityはangerを表現できない。

Govでは、angerをembraceすることによってminorityもangerを表現できる。

 

PMが言っているのはこういうことですね。

  Govの世界 Oppの世界
Majority 表現できる 表現できる
Minority 表現できる 表現できない

 

 

なぜここまでこのframingを強調しているかというと、OOの考える比較軸と違うからです。

  Govの世界 Oppの世界
Majority 表現できる もっと表現できる
Minority 表現できない 表現できない

 

LOの最初の方で触れられています。(かなり説明の仕方が分かりづらいですが)

OOとしては、angerをembraceすると、Majorityがangerを表現しやすくなるだけでかえってもっと差別増えるやん!ということです。

なので、OG vs OOでどっちの世界の方がminorityを救えるかを考えるときに、細かいロジックで勝負が決まるのではなく、どっちのframingがより正しいのか、で勝負が決まります。

このディベートのDLO(YouTube上は削除されている)がFacebook上でディベート史上1、2を争うくらい良いスピーチと言われていますが、OOのframingの方が正しいと示してOGをボコボコにしていました。

 

2つ目のargumentはextremismの話も、どのみち政治や社会への不満は溜まっているからこそ表現した方がいいという話なので、最初のargumentと同じようなロジックですね。

 

3つ目のargumentは政治家の中でもっとminorityが増えるって話です。これは1つ目のargumentを違うimpactにして言い直した感がすごい。

 

ということで、このディベートにおいては、細かいロジックとかイラストで勝負が決まるのではなく、前述の大枠のframingによってどちらが勝つのかが決まります。メカニズム量産することに頭を使わずに大枠で勝てるスピーチをしたいですね。

このQF、DPMまではOGが勝ってるんだけど、DLOで全部ひっくり返されるって感じです。DLO録音公開してくれええ